「団地」というフィールドで日本社会の問題を見せつけられる本-「団地と移民」 安田浩一

ノンフィクション

出版日:2019年3月23日
ページ数:256ページ

現在、この本は加筆修正された親書が出版されています。

私が読んだのは2019年3月に出版された単行本のほうになります。

学生の頃、東京都板橋区の高島平団地に住んだことがあります。

高島平に住んでいた親戚のところに間借りしていたのですが、初めて高島平を訪れた時は巨大な団地群に度肝を抜かれました。

作られた当初は物凄く活気があっただろうなと思われる高島平団地も、私が間借りしてた時期にはすでに高齢者の世帯が多くなっていました。

現在はどの団地も高齢化が進み、住民の半分が高齢者、半分が外国人という状態になっており、その現象による問題を書いているのがこの本です。

以前、たまたま見たドキュメンタリー番組でも団地住民の高齢化と外国人問題を取り上げていて、社会問題の一部になっているんだなとその時思いました。

日本各地の巨大団地群の多くは、住民の高齢化問題を抱えています。

高齢の単身者が多く孤独死するケースも多いため、自治会での見回りや声かけなどの努力をしているそうです。

しかし、その自治会も70代以上の高齢者が運営してる状態。

団地住民の高齢化が進むにつれて団地の空室が目立ち、そこに外国人の入居が増えてきたという背景があるようです。

今の団地は高齢の日本人と若い外国人が住んでいる状態で、世代間のギャップと他文化他習慣の問題を抱えることになりました。

例えばゴミ分別の問題が団地で起きると、なんでもかんでも外国人のせいになってしまい、軋轢が生まれるという問題もあるそうです。

言葉がわからず、日本の習慣もわかっていない外国人の住民がそういうトラブルを起こすのはごく一部で、ほとんどは外国人を追い出そうとする嫌がらせだったりするそうです。

これらの問題を解決しようと、近隣の大学や若い人が日本人高齢者と外国人の若い世帯を結びつけるためのイベントを開いたりさまざまな取り組みをしており、そのことが詳しく書かれている本でした。

海外の例として、パリ郊外の大型団地のレポートもあり世界のどこでも似たような問題を抱えていることを知ることが出来ました。

建物の老朽化、団地住民の高齢化、外国人入居者の増加という問題を、うまく共生しながら解決していくしかないのかもしれません。

今後、団地住民の高齢化はますます進むでしょうし、外国人の移民政策緩和でますます増えていくでしょう。

今までもこの問題はありましたが、今後を見据えて方法を考えていくしかないんだろうなと感じました。

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