発売日:2022年7月26日
ページ数:192ページ
この本、芥川賞作家である又吉直樹氏と人気絵本作家のヨシタケシンスケ氏が合同で書いてる本ということで、出版当初から話題になりました。
ヨシタケシンスケ氏が絵を描いて、又吉氏が物語を書くにかな。
きっと児童文学かなーと勝手に思っていました。
ところが、この本、とっても奥が深い話でした。
しかも、又吉氏とヨシタケ氏が交互にお話を書いていて、お二人のお話が楽しめるというとってもお得な本でした。
第13夜(第13章)まであるのですが、又吉氏とヨシタケ氏の物語を交互に読めるという構成になっています。
話の内容も面白く奥が深いし、最期にまさかのオチまであり、とっても面白い本でした。

とある本がありました。
その本の表紙には2人の男の名前が書かれていました。
その本のあらすじがどんどん語られていくという流れになっています。
2人の男(どう見ても又吉氏とヨシタケ氏)は本が大好きな王様から依頼を受けます。
王様は本が大好きなのですが、年を取って目が見えなくなり本が読めません。
2人の男に世界中を旅して珍しい本の話を探してきて欲しい、それを聞かせてほしいと依頼されます。
1年後、2人の男は旅から戻り、毎晩代わる代わる王様に本の話をしていきます。
第1夜から第13夜まで王様に語っていく形になっているのですが、最初は軽めのお話だったのが、だんだん深刻なお話だったり、人生観とも言えるような話にもなってきます。
でも、13話すべてがとても不思議な物語になっています。
各章(各夜)のお話は必ず「その本は」から始まり、その点も非常によくできてるなと思いました。
又吉氏のパートは文章で、ヨシタケ氏のパートはかわいらしい絵が多く、とても読みやすいです。
2人の男の話を13夜聞き終わった王様は、その話を本にするように命じます。
そして王様は亡くなります。
ここで終わってくれたら、「不思議な話ばっかりだけど良い本だったなあ」という感想だったと思います。
ところが、エピローグでどんでん返しがあります。
王様が亡くなって2人の男の話が本になった半年後、実はこの2人の男は1年間世界を旅しておらず、王様からもらった旅費を生活費にして、自宅でゴロゴロしていたことが判明します。
「王様に嘘をついた」
「旅費を正しく使わなかった」
という罪で2人の男は捕まってしまいます。
裁判で有罪になり、裁判官に「最後に何か言いたいことは?」と聞かれた2人の男は声を揃えて言います。
「その本は」
まさかのオチです(笑)。
それまでの本の内容と最後のオチのギャップに度肝を抜かれました。
いやー、この本凄い。
ほのぼのとした不思議ワールドの中にもこういうちょっとした仕掛けがされていて、なかなか凄い本だなと思いました。
191ページの本ですが、面白くてあっという間に読めます。
なかなかこういう展開の本はないので、良い気分転換になりました。
本だけでなく、「その本は手帳」という物もあるようです。
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