出版日:2018年6月22日
ページ数:297ページ
ここ最近読んだ本の中ではダントツに面白い本でした。
この本を読んでみようと思ったのは、数年前にNHKでアマゾン地域の未知の先住民イゾラドについての番組を見たことがきっかけでした。
先住民というと、アメリカのネイティブアメリカン、オーストラリアのアボリジニなどを思い出しますが、彼らは独自の文化や習慣を保ちつつも現代社会とのつながりを持ち、ある程度文明化されて生活しています。
南米のアマゾン地域の先住民も文明化された部族が多くなっていますが、それでも全部の部族が発見されたわけではありません。
この時代に、まだアマゾンの熱帯雨林に発見されていない部族が住んでいる。
そのことにものすごく興奮しました。
これだけテクノロジーが発展して、ドローンなどの技術を駆使すれば簡単に見つかりそうな気がするのですが、まだ見つかっていない先住民の部族がいる。
同時に未知の先住民を発見して、彼らを文明化することが果たして彼らにとって本当に幸せなのだろうか?
また、アマゾンの熱帯雨林の開発がどんどん進んで彼らの住む場所がどんどんなくなってしまっているのは、どうしたら良いのだろうか?
日本に住んでいると、「未知の先住民」のことなんてなかなか考えないけど、世界にはまだまだこういう民族が残っているんだなあと改めて思いました。

「ノモレ」とは、ペルーアマゾンの先住民イネ族の言葉で「仲間」を意味するそうです。
この本のストーリーは100年以上前にアマゾンにゴムの樹液を求めてやってきた西欧人が、アマゾンの先住民を捕まえて樹液集めのために働かせていたことから始まります。
酷使させられ、ひどい虐待を受け、ついに、先住民の数人がパトロンである西欧人を殺して逃げます。
銃を持った西欧人たちに追いかけられ、途中で二手に分かれて逃げたイネ族。
片方のグループは無事に生き延び、自分たちの子や孫に「途中で生き別れたノモレを見つけてくれ」と託します。
100年以上が経ち、生き延びたイネ族は文明化され、現代社会で保護区で生活をしています。
文明化されているので、エンジン付きの船を操ったり、電気を使っていたり、洋服を着ていたりします。
彼らが住んでいる保護区にある日、裸のイゾラド(現代社会に未接触の謎の先住民)がやってきて、まさに「未知との遭遇」を体験します。
そこからどのようにしてイゾラドとコミュニケーションをとるのか、どのように彼らを保護して守っていくのかという話が事細かく書かれていました。
この本のイゾラドは、たまたまイネ族と共通する言語を話す部族だったため、多少のコミュニケーションを取ることができました。
でも、言葉が通じなければ、敵ではないことをどのように証明したらいいのか、文化も習慣も考え方もまったく違って謎のイゾラドにどのように現代社会のことを理解させればいいのか、とても難しい問題だなあと実感しました。
ペルー政府もお金がないので、先住民対策にお金を出し渋りますし、警察も軍隊も非協力的。
文明化され保護区で暮らしている先住民が、イゾラドに襲われて部族間の争いに発展し、ひとつの部族がなくなってしまったり、現代社会の人間とイゾラドが接触することによって、イゾラドが感染症にかかりあっという間に部族が壊滅してしまったり、本当に今でもそういう世界がアマゾンで繰り広げられているのかと、なんとも言えない気持ちになりました。
イゾラドに関する書籍は意外と少ないのですが、この著者の本はとても読みやすく、イゾラドについてとてもわかりやすく書かれています。
もう少しイゾラドや先住民について勉強したいなあと思いました。
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