発売日:2021年3月29日
ページ数:216ページ
福島県郡山市から太平洋側に向かって9キロ。
そこにこの本の舞台である三春町があります。
三春町という名前は、梅、桃、桜の花が同時に咲く、3つの春が同時にやってくると言われていたのが由来です。
三春町には日本三大桜で有名な「三春の滝桜」があります。
冬は雪が積もりますが、四季折々の美しい景色が素晴らしい山間の町で、福島県の中でもダントツに私が大好きな町です。
著者は東京から三春町に引っ越し、東京で営んでいた雑貨店「inkyo」を開きました。
その著者がネット記事「三春タイムズ」を書いており、書籍になったのがこの本です。
著者は千葉県出身、東京都台東区蔵前で雑貨店を営んていました。
結婚を機に三春町に移住しました。
三春町はとても美しい町ですが、福島県最大の商業都市、郡山市に比較的近い場所に立地しています。
しかし、三春町自体は山間の小さな町でちょっと不便です。
ご主人が郡山市出身だそうですが、二人で三春町への移住を決めたそうです。
この本では三春町の素敵な景色の写真は一切ありません。
素敵な装丁と挿絵の他はすべて文章で三春町の魅力を伝えています。
春夏秋冬の順で季節ごとの三春町の魅力を、木々の様子や町のお祭りなどを題材に書いています。
文章だけなのに、三春町の美しい情景がありありと目の前に展開されていきます。
蔵前で営んでいらっしゃった雑貨店も三春町で開店し、三春町の人たちと少しずつ顔なじみになり地元に馴染んでいく様子が文章から伝わってきます。
三春町のおいしいものや人々の温かさなども、読むだけで自分が経験しているかのように感じます。
文章だけでこれだけ情景をありありと表し、ほんわかした気持ちにさせてくれる本はとても貴重だと思いました。
装丁も挿絵もシンプルであっさりしたものであるのに、とても美しく、きっと著者のセンスが素晴らしいんだろうなあと思いました。
あまり期待せずに購入した本でしたが、とても素敵な本でした。
福島県に行ったら時間を作って三春町まで行ってみようと思いました。
この著者のお店にも立ち寄りたいと思います。
思いがけず素敵な本に巡り合って、とても素晴らしい読書時間を過ごすことができました。
東北の穏やかな四季を感じたい方におススメの本です。
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