出版日:2022年12月10日
ページ数:256ページ
ひとり暮らしであろうとなかろうと、暮らしの知恵というものは誰にでも必要なものです。
著者は現在77歳。薬剤師の資格を持つ生活研究家です。
ひとり暮らし歴40年というひとり暮らしのベテランです。
生活研究家という、一般の人よりは「上手に暮らしている」と思われる人が書いている本なので、興味があって読んでみました。
ひとり暮らしだろうが、家族がいようが、年を取るにつれて重要になっていくであろう暮らしの知恵が満載の本でした。
本のタイトルは「ひとりサイズで」とひとり暮らしを前提に書かれていますが、誰にとっても必要なことばかりでした。
この本で特に大切だと言われていたことは、「食の重要性」と「断捨離」でした。
「そんなこと、もう聞き飽きたよ」と思う方も多いでしょう。
だって、ほとんどの暮らしのノウハウ本は食の重要性と断捨離を語っているからです。
私も最初に読んだ時は「あー、またこのお決まりの話か」と思いました。
が、この本はちょっと違っています。
一般的な暮らしのノウハウ本は、ターゲット層が40~50代くらいの方だと思います。
40~50代の方はまだまだ体力も気力も充実しています。
だから「断捨離やったら気分が良くなる」とか「食を大事にして健康増進」などのフレーズがとても多いのです。
ところが、この本はもっと上の世代、60~70代以降をターゲットにしているので、加齢と共にどのように体が変化していくのか、体力気力がどのように減退していくのかを詳しく書いています。
そうなる前に断捨離も食事もきちんと見直そう。断捨離も食事を作るのもだんだんやりたくなくなるから、そうなる前にルーチンを作っておこうという、非常に画期的な話でした。
70代80代になった時に、自分が元気でやる気満々、体力も有り余ってるのならいいのですが、病気になったり健康でも気力が湧かなかったりするのが高齢期です。
ゴミ屋敷が時々話題になりますが、あれは高齢者の気力と体力がどんどん衰えていった結果なのだなとこの本を読むとよく分かります。
ゴミ屋敷までにはならなくても、加齢と共にだんだん片付けや断捨離が億劫になっていくことがこの本からよく分かるので、その前にどのように対策を取ればいいのか考えさせられます。
誰にでもいつかは必ずやってくる老い。
年取った時に備えてどのような心構えで今から準備しておけばよいのか、とてもよく分かる本です。
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