出版日:2023年8月30日
ページ数:321ページ
この本、書評レビュー読むと「めちゃくちゃ怖い!」「夜中に一人で読んじゃダメ!!」などの感想があまりにも多くて、なかなか読む勇気がありませんでした。
結論から言うと、レビューで言ってるほど怖くありません!
そうは言ってもホラー小説だから怖いと言えば怖いんですが、レビューは半分煽ってるんだろうなと思いました。
非常に良くできている小説で、怖いということよりもその構成力に感動しました。
まるでパズルのピースがハマっていくような感覚で、読み進めるうちにワクワクが止まりませんでした。
ミステリー要素もふんだんに盛り込まれていて、単なる「怖い話」ではありませんでした。
この本の著者でもある背筋さんの「友人を探しているので情報が欲しい」という呼びかけからこの本は始まります。
短編集のように短いお話が続いていくのですが、そのひとつひとつはバラバラで、女児誘拐事件だったり、心霊スポットについてだったり、とある学校の事件だったり、一見、相互関係が全くない話の連続のように感じます。
ところが、読み進めていくにつれて、「近畿地方のある場所」が共通項であることが分かり、それぞれ関係がないと思われた話がすべてつながっていくのです。
正直、このバラバラのお話を一つの地点に向かってうまーくまとめてつなげていくことに、構成力の高さを感じました。
いやー、ホント、凄い。
ホラー小説として怖いというよりも、その構成力の高さのほうが怖かったです(笑)
最期はきちんと話がまとまり、怖いんだけど「なんか凄い面白いミステリー小説読んだ」という感想になります。
ただ単に怖いだけではないので、面白さ100倍です。
巻末にはそれまでのエピソードに関係する写真や絵などが袋とじで添付されていて、全部読み終わってからその袋とじを見るとじわじわと恐怖感が味わえます。
ちなみにこの本、途中で「あれ?これって本当にあった話なのかな?」と思ってしまうのですが、小説です。フィクションです。
この実録風小説のことを「モキュメンタリー小説」と呼ぶらしく、最近の手法として流行っているようです。
まさに「モキュメンタリー小説」の良作でした。
ホラーだけでなく、ミステリーも楽しみたい、両方読みたい方にはうってつけの1冊です。
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