発売日:2019年7月5日
ページ数:304ページ
ここ数年、日本の離島にとても興味があります。
特に香川県の小豆島、長崎県の五島列島、東京都の小笠原諸島などはとても興味があります。
文筆家の内澤旬子氏が小豆島に移住した際の経緯を書いたこの本を見つけたので、早速読んでみました。
小豆島は香川県にあるオリーブの産地として有名な島です。
私の友人知人も旅行で訪れたことがあり、その話を聞くたびに「行ってみたいなあ」と思っていました。
この本では旅行ガイドブックではわからない、移住して小豆島で生活をしている人から見た「島のリアル」を知ることができました。
とても興味深く、面白い本でした。

著者の内澤旬子氏は文筆家でイラストレーターでもあります。
内澤氏は30代で乳がんに罹患、治療の副作用、離婚などを経て、2014年に単身で小豆島に移住します。
きっかけは彼女が東京から出て地方に移住したいと考え始めた同じ時期に、友人夫婦が小豆島に移住したことだそうです。
友人夫婦に会いに小豆島に訪れたことから島を気に入り、本格的に移住計画が動き始めます。
その経緯がこと細かく書かれています。
内澤氏は本や絵を描いて生計を立てているので仕事の心配はない(全国どこでも仕事ができる)。
住居を空き家バンクで探したり、現地の友人知人にお願いしたりして何度か内見のために小豆島を訪れます。
家の立地、家賃、景観、自然災害のリスク、買い物や港へ出るための利便性、自分の希望を叶えられる環境下どうかなど、様々なことを考慮しながら2年かけてやっと希望に叶う家を見つけます。
小豆島は現在、移住希望者が多いので空き家バンクに掲載されている家やこれから空き家になる家の情報が出回っても、すぐに次の入居者が決まってしまうことが多いそうです。
東京から小豆島への引っ越し状況、東京都は違う気候条件、自然に囲まれた古民家ならではの問題、島の人間関係など、お金のことも含めて赤裸々に書いています。
(ここまで赤裸々に移住の大変さや金銭面のことまで書いてある本はなかなかありません)
内澤氏は小豆島に引っ越す前に千葉で豚を飼っていた経験があり、狩猟やヤギを飼うことに興味があったようで、小豆島に移住してから仕事の傍ら猟銃免許を取ったりヤギを育てたりしています。
ヤギの飼育に関しても詳しく書かれていて、とても興味深く読みました。
小豆島での人間関係ですが、小豆島は移住者が多く島の人も移住者を受け入れている人が多いため、そこまで地方独特の閉鎖的な人間関係はなかったようです。
少なくとも内澤氏の周りには彼女に親切にしてくれる人がたくさんいて、移住者同士のコミュニティもあり、楽しく生活できているようです。
もちろん良いことばかりではなく、さまざまなトラブルもありますが、移住のメリットもデメリットもすべて書かれていて、移住を考えている人にはとても参考になる本だと思います。
内澤氏は現在も小豆島にヤギと一緒にお住まいで、インスタで時々ライブ配信なども行っているようです。
この本を読んで小豆島にますます興味が湧いたので、一度行ってみたいなと思いました。
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