発売日:2021年4月23日
ページ数:224ページ
読書って、意外と気力体力が必要だったりします。
私は子供の頃から読書が好きで年間100冊以上本を読むのですが、数年前に家族を亡くした際、2年間全く読書ができませんでした。
死別のショックで集中力や気力が全くなくて、普通の生活(仕事と家事)をやるだけで精一杯だったのです。
体調が悪いことも多かったため、この経験から
「読書は気力と体力が充実していないとできないもの」
と自覚しました。
ただ、一方で本はあらゆるジャンルの悩み解決の一助になります。
本を読むことでなにかしらのヒントを得られたり、気持ちが前向きになるきっかけを与えられることもあります。
そういうポジティブな側面から読書セラピー(読書療法)を説明しているのがこの本になります。

この本の著者は日本読書療法学会の会長さんです。
創設者でもある寺田氏は子供時代を親の仕事の都合で南米で暮らした経験があります。
日本に帰国してからは帰国子女の中でもマイノリティーである「南米帰国子女」としていろいろな苦労があったそうです。
(帰国子女でもマジョリティーは英語圏または欧米諸国だそうで、南米からの帰国子女というのは少ないそうです。)
逆境を克服するために勉強を頑張り、見事東大に合格。
東大に入学するも、そこでも様々な葛藤を経験します。
その後、外資系企業やフリーランスで通訳翻訳の仕事で大活躍するのですが、うつ病を発症。
うつ病を克服する過程で読書の力に気付き、海外(特に欧米)では読書を通して心を整えるセラピーがあることを知り、日本での学会立ち上げをしたそうです。
寺田氏の経歴だけでも十分に興味をそそる内容だったのですが、この本では欧米の読書セラピーの取り組みや、状況別(お悩み別)の本の紹介、状況別の本の読み方なども紹介されていて、盛りだくさんの内容でした。
特に興味深かったのは、イスラエルでは読書セラピーを行う読書セラピストは国家資格なのだそうです。
それだけ読書(本)というものが心や体を癒すのに役立つと考えられているということを知りました。
またイギリスの図書館にも読書セラピストがいて、悩みを相談するとそれに合わせた本を紹介してくれるそうです。
日本の図書館にも司書さんがいますし、大型書店に行けば本のコンシェルジュもいますが、そういう方たちと海外の読書セラピストはちょっと違うなと思いました。
海外の読書セラピストはどちらかというと、心理学やカウンセリング技術を身に着けている人が多く、心理療法の観点から本を紹介するのです。
悩みを解決したい、何かアイディアが欲しいという場合は読書セラピストのほうが適任なのかなと思いました。
日本でも、この日本読書療法学会を通じて学んだ読書セラピストさんがいらっしゃるようで、そういう方たちが図書館だったり書店だったり、読書会だったりで様々なアドバイスをしてくださるようです。
この学会の良いところは、読書セラピストの認定資格というものを設けていないところです。
認定資格を設けてしまうと、資格を取ることが目的になってしまい、読書セラピーの本来の目的から外れてしまうと考え、セミナーや勉強会は開催するけれど資格は設けていないそうです。
とても素晴らしい内容の本で、読書を通して心身を整えるという考え方も活動も素晴らしいと思いました。
もっと日本でも読書セラピストが増えてどの図書館でも相談ができる体制が作られるといいなあと思いました。
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