スケールが大きすぎる国際ロマンス(結婚)詐欺の実話が書かれた本-「破婚」 及川眠子

ノンフィクション

出版日:2016年7月29日
ページ数:191ページ

近年「国際ロマンス詐欺」という言葉を良く聞くようになりました。

「国際ロマンス詐欺」とは海外在住の外国人による日本人への結婚詐欺のことです。

以前からそういう詐欺はありましたが、ネットやSNSが発達した現代ではより簡単により多く外国人による結婚詐欺が増えました。

「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ曲作詞家として有名な及川眠子さんも国際結婚詐欺にあった1人です。

実際に経験した「国際結婚詐欺」の実話を淡々と書かれているのがこの本です。

被害総額のスケールが大きすぎてとても「淡々と」読める内容ではないのですが、及川さんの凄いところはそこまでの被害に遭っても感情的にならずにこの本を書き上げたことではないかと思います。

(ご本人ははらわた煮えくりかえるような思いを散々なさってると思いますが。)

著者の及川さんは2000年にトルコへ一人旅をします。

宿泊していたホテル隣の絨毯屋にいたのが、のちに夫となるトルコ人男性でした。

その男性は及川さんよりも18歳年下で、当初は恋愛の対象にはなりませんでした。

1年後に再びトルコを訪れた際にそのトルコ人男性と再会。彼から熱烈なアプローチを受けます。

当時及川さんには日本人の彼氏がいたようなのですが、トルコ人男性の熱烈なアプローチに負け、肉体関係を持ってしまいます。

これ、典型的な海外でのロマンス詐欺の手口です。

そこからトルコと日本という遠距離でのやりとりをずっとしていたのですが、5年後にトルコ人男性から愛の言葉を囁かれ、結婚を決意します。

が、ここから地獄が始まります。

当時無職だったトルコ人夫は日本への渡航費やビザ申請費用など、何かにつけてお金を無心してきます。

結婚後も日本とトルコで別居していたお二人は定期的に両国を行き来する関係でした。

そのうち、トルコ人夫がトルコ国内に旅行会社を設立したいと言い出し、及川さんは出資します。

当時、「新世紀エヴァンゲリオン」のテーマ曲「残酷な天使のテーゼ」が大ヒットし、印税がかなり入ってきていた及川さんは、トルコ人夫に言われるがままにお金を出してしまいます。

が、事業は全く上手くいかず、13年間の結婚生活の間に貢いだ金額は3億円に上りました。

最終的にトルコ人夫がトルコで浮気をし、相手女性との間に子供が欲しいとのことで離婚に至ります。

しかし、その頃には及川さんはトルコ人夫による7千万円の借金を背負う状態になっていました。

離婚は比較的スムーズに手続きが進んだのですが、及川さんのお金に執着しているトルコ人夫はその後も電話をかけてきたり、及川さんに対する嫌がらせを続けました。

なんとも凄い経験をなさっていますが、及川さんご自身はこのことを「良い経験」だったと思っているようで、この本を出版したりテレビ番組でトルコ人夫とのエピソードを話したり、「転んでもタダでは起きない」を実践してる方だなと感心しました。

国際ロマンス詐欺(国際結婚詐欺)の実態がよくわかり、なおかつこのくらいの強靭なメンタルがないとそこから立ち直れないのだなということが、学べる本でした。

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