アメリカ英語ではあまり聞かれませんが、イギリス英語では話し方やイントネーション、単語の選び方などで階級が分かると言われています。
イギリスは階級社会です。
貴族出身や富裕層は子供を歴史のある寄宿学校に入学させ、学校や寮内で徹底した「上流階級英語」を叩きこまれます。
著者は日本人女性ですが、幼少期を香港やイギリスで過ごし、イギリスでは名門の寄宿学校で学んでいた方です。
そのため、著者はイギリスの階級社会や階級英語を深く理解しており、この本ではドラマや映画などを引用して「イギリスの階級英語とはなんぞや?」を解説しています。
英語が母国語ではない私たちにはなかなか理解が難しいイギリスの階級英語。
階級英語が日本で一番知れ渡ったきっかけになったのはドラマ「ダウントン・アビー」ではないでしょうか。
ドラマの中に出てくる執事が使っている英語。
執事は上流階級に仕えているのだから失礼がないように上流階級の英語を使っているのだろう。と思っていたら大間違い。
執事が使っている英語は回りくどい「ロウワー・アッパー・クラス」の英語なのだそう。
(上流階級(アッパー・クラス)の中でも上級下級があり、下級のアッパー・クラスが使っている英語なのだそうです。)
そんなの、英語が母語でない人にはなかなかわかりませんよね。
この本ではさまざまな事例で説明されているのですが、上流階級の英語というのは意外とストレートで、相手の言ったことが聞こえなかった場合などは「What?」と聞き返すそうです。
もうちょっと丁寧な聞き方をするのが上流階級だと思いません?
ところが、意外と上流階級はストレートな物言いが多く、丁寧すぎる表現や言い回しを使うのはロウワー・アッパー・クラスやミドル・クラス(中流階級)なのだそうです。
「へえ~、そうなんだ。それは知らなかった!」の連発でした。
イギリス英語を詳しく知らない私にとっては目から鱗の連続でしたが、逆にこういうことを知らずにイギリスで中途半端な英語を話すと大変なんだなあと思いました。
もちろん観光客などは「外国人だからしょうがない」と許してもらえる部分は多々あると思いますが、現地に住んでいる外国人はいろいろ気にしながらより良い英語を身に着けていかざるを得ないのだなと思いました。
まさに「口を開けばお里が知れる。。。」です。
スラングやFワードなどをかっこいいと思って使っている人もたまーに見かけますが、きちんとした英語を身に着けておくに越したことはないなと思いました。
旅行に行くにせよ、英語で使うにせよ、きちんとした英語は身を助けるということを実感させられる本でした。
イギリスを知るための教養書としても、とても良く書かれた興味深い本でした。
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