出版日:2021年12月20日
ページ数:192ページ
仕事の悩み、人間関係の悩み、恋の悩み。
人の悩みは昔も今も変わらないことが良く分かる本です。
「いやいや、今はスマホもあるし、社会情勢も全然違っているのだから、昔の人と悩みが同じわけないじゃん」と思うかもしれません。
でも、人の噂話はスマホがあろうがなかろうが聞こえてくるものだし、人間関係の悩みも恋の悩みも昔からあります。
そういう悩みを平安時代の人たちがどのようにして対処していったのかを、古典を引用しながら解説しています。
古典の解説の後には、心理カウンセラーが状況説明を詳しくなさっていて、とても興味深い本でした。
「良いことノート」という、その日起こった良いことを書いていくノートが流行ったことがありました。
その日起こった良いことを5つくらいノートに書いていくことを習慣にすると、幸せな気分が続き幸運体質になるというものでした。
これ、今に始まったことではないのです。
第一章の「嬉しきこと二つにて」では、男友達の源経房が訪ねてきた際に清少納言を褒めたたえます。
エリート官僚の藤原行成が清少納言のことを褒めていたと伝えます。
それを聞いた清少納言は
「嬉しきこと二つにて。かの褒めたまふなるに、また、想ふ人のうちにはべりけるをなむ」
「枕草子」より
「嬉しいことが二つです。行成様が褒めてくださっていることと、あなたが好きな人の一人として私を入れてくださってることです」
と書いています。
嬉しいことをひとつだけでなく、二つ見つける。
清少納言は些細なことからも嬉しいことや幸せなことを見つける「良いこと見つけの達人」だったようです。
この本では「枕草子」「万葉集」「古事記」から引用されたさまざまな文章を読みながら、昔の人も現代と同じ悩みを抱え、それをどのように対処していったかが書かれています。
「今の生活に役立つヒント」として心理カウンセラーの解説がついているのですが、潜在意識や言霊を昔の人はうまく活用しており、それを悩みの解決やメンタルの安定に役立てていたことも説明されています。
「人の悩みは昔も今も変わらないのだなあ」と俯瞰してみることができると、悩みに風穴があき、解決の糸口が掴めるかもしれません。
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