発売日:2025年1月10日
ページ数:200ページ
最近の物価高は異常だなと思うほどです。
特に食品の値上げは深刻です。
そんな中、「節約しよう」と努力なさってる方も多いはず。
昔から節約なさってる方には常識と認識されていることが書かれていますが、「節約エッセイ」としてとても面白い本でした。
作家で書誌学者である林望氏は15年以上の節約暦があります。
林望氏と言えば数々の著作を出している有名な作家さんですが、こんなに著名な方でも地道に節約していることが伺えます。
節約や倹約って、意外とお金持ちのほうが徹底してやってるんですよね。
この本は節約に関する話だけでなく、現代のキャッシュレス化やNISAを初めとする投資に関しても言及しています。

林望氏が書かれているこの本の内容について、私は完全同意でした。
林氏はITやデジタル化に関して非常に詳しく、ご自身もPCや様々なソフトを使いこなしています。
なので、「デジタル音痴の高齢者」の戯言では決してないことを最初に書いておきます。
ここまでITに詳しい方なのにも関わらず、資産を守るという点からキャッシュレス化には反対だそうです。
クレジットカードでも電子マネーでも、こまめにお金の出入りが管理できる人ならいいのですが、下手をするとクレジットカードや電子マネーでの支払いはお金を使いすぎる傾向にあります。
何にお金を使ったのか、実感が湧かないからです。
お金の管理がきちんとできない=資産を守れないので、林望氏は今でも現金主義なのだそうです。
今の時代、完全にキャッシュレス化を否定するのは難しいですが、私も完全にキャッシュレス化に移行するのは危険だと思っています。
多くの災害が起きる日本において、キャッシュレスオンリーで現金を持たずに生活することは非常にリスクが高いことだからです。
また、現金で支払いをすることによってお金の価値や使い方の塩梅が身に着くのは事実なので、その点でもキャッシュレスはきちんと金銭管理ができない人には危険だと思っています。
また、ここ数年で国主導でNISAを初めとする投資を推し進めることに林氏は警鐘を鳴らしています。
陰謀論とかそういうことではなく、庶民がきちんと勉強をせずに投資にのめり込んでも資産を守れないと言っています。
確かに投資は余剰資金で行う分にはいいのですが、生活費を切り詰めて行うものではありません。
その点をきちんと林氏は書いています。
林氏自身も若い時に不動産投資を行っており、その経験から投資の難しさを実感しているようでした。
キャッシュレスにせよ投資にせよ、林氏は何もわからなくて言ってるわけではなく、ある程度ご自身でいろいろ経験なさった経験則から意見を述べていました。
林氏自身の節約術がいろいろと書かれてますが、それは「隣町のスーパーのほうが値段が安いから買いに行く」「食品の量を減らす」等の細かい節約術ではなく、自分の人生にとって本当に必要なものは何か、お金を最優先でかけなければならない部分はどこか、見栄を張ることに意味があるのか等、生き方そのものを再確認していくものです。
結局、そういう根本的な部分をしっかり見つけなおさないと、林望氏のような合理的な節約はできないことがよく分かりました。
難しい部分もありますが、この「生き方を問う」節約方法を身に着けてしまえば、無駄遣いをせずにお金を貯めることができると思います。
目先の節約ではなく、一生モノの節約術を学びたい方にはとても参考になると思います。
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