発売日:2020年7月28日
ページ数:193ページ
著者の西村宏堂氏を知ったのは、NHKの番組を見たことがきっかけでした。
LGBTQで僧侶。しかもミスユニバースのメイクアップアーティスト。
番組の中で流暢な英語を話し、若くて美しくて素敵だなと思いました。
経歴を知らなかった私は僧侶になった後にLGBTQであることを公表したのかなと思っていました。
西村氏に興味があったので、早速この本を読んでみました。
西村氏は1989年東京生まれ。
お寺の跡取り息子として生まれます。
幼い頃から自分が女の子だと疑わず、母親のスカートを履いたり、ディズニープリンセスが好きだったりしたそうです。
ご両親は2人とも海外留学経験がありLGBTQに偏見がなかったようで、西村氏が女の子の格好をしていても叱ることなく、自然に育てていたようです。
小学校中学校は女の子の友達と仲良く過ごしたりしていたようなのですが、高校に進学すると友人がなかなかできず、「あいつ、ゲイなんじゃね?」という偏見を同級生からぶつけられるようになります。
自分がゲイであることがばれるのが嫌で、高校時代は友達は作らず、ゲイチャットと元々成績が良かった英語の勉強を極めるために英会話スクールにのめり込みます。
その後、アメリカに留学。
アメリカに行けば本当の自分になれると思っていたけれど、今度は日本人コンプレックスで苦しむことになります。
ニューヨークのパーソンズ美術大学で学んでいた頃にミスユニバースで日本人の森理世さんが優勝し、日本人であることのコンプレックスが無くなっていきます。
もともと綺麗になりたい、お化粧をして素敵な洋服を着たいと思っていたけれど、このことを機にメイクを本格的に学び始めます。
大学在学中にインターンシップで日本人でミスユニバースのメイクを担当している女性に弟子入りし、卒業後もそのままメイクアップアーティストになります。
数多くの世界中のミスユニバース代表のメイクを担当し、様々な人に出会い、いろいろな経験を重ねていきます。
大学在学中からメイクアップアーティストの仕事をしていましたが、卒業後に僧侶の資格を取ることを決意。
厳しい修行を修了し、僧侶の資格を取ります。
LGBTQであることをカミングアウトし、自分らしく生きることの大切さを仏教の話を交えながら、優しい語り口で書かれています。
西村氏ご本人が自分のセクシャリティで悩み、苦労を重ねてきたことの経験談、それに伴う苦しみや心の痛みなどをどのように克服してきたかが書かれています。
ご本人の努力もさることながら、周りの方々の理解を得ることの大切さも垣間見ることができました。
NHKやBBCで特集番組が放送されたり、さまざまな場所で講演を重ねています。
メイクアップアーティストとして、外見を整えることによる心理効果や心理的な影響なども書かれており、さまざまな視点から人の悩みに対する考え方を示してくれていて、非常に良い本でした。
西村氏の写真もふんだんに載っていて、芸術的で美しいメイクアップなども見ることができて、とても興味深い本でした。
自分らしく生きることの大切さをご自身で体現なさっているのは非常に説得力がありました。
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