変わった研究で活躍する日本人がいることを知ることができる本-「バッタを倒しにアフリカへ」 前野ウルド浩太郎

ノンフィクション

出版日:2017年5月17日
ページ数:384ページ

新型コロナ感染拡大の陰に隠れてしまいあまり知られていませんが、アフリカ大陸を中心にバッタの大量発生による農作物被害が拡大しています。

日本ではあまりバッタによる農作物被害は発生しませんし、農薬なども良いものがたくさんあるので被害が拡大しないのです。

この本は日本人バッタ研究者がアフリカの研究所で奮闘した経験を綴った本です。

世の中にはさまざまな研究がありますが、バッタの研究をしている人がいることを改めて知りました。

バッタの研究はなかなか知ることができない分野なので、とても興味深く読みました。

この本の著者、非常に文章が上手くとっても面白い。

あっという間に読み終わりました。

この本にはいくつかの写真も載っているのですが、アフリカを中心に大量発生するサバクトビバッタはとにかく大きい!

こんな大きなバッタが大群でやってきて、あらゆる農作物や草木にくっついて、あっという間に食い散らかしてしまうのですから、多大な被害を被るのはよくわかります。

バッタが食い散らかした農地や森林はあっという間に枯れてしまい、砂漠化を招きます。

しかもこんなに科学技術が発展しても、このバッタの大群がどこから来てどこに向かうのかを完璧に予測することができないのだそうです。

(ある程度経験則や電子機器などで予測はしてるのですが、完璧ではない)

日本でバッタを見かけてもそんなに気にすることもなく過ごしていましたが、アフリカの人たちにとっても悪魔そのものだろうなあと、この本を読んでふと思いました。

また、この本では日本での研究者の立場がとても不安定で、有期契約での研究活動がほとんどだということを初めて知りました。

優秀な研究者がいたとしても、有期契約での雇用では安心して研究できないよなーと思いました。

「末は博士か大臣か」

なんて、昔は言われいましたが、大学院で博士号取るまで勉強しても雇用が不安定なのはなんだかなあと思ってしまいました。

この本の著者は文才もあるし、ユーモアもあって、バッタの研究を面白おかしく紹介する才能があるので、本を出版したり講演会などで広く研究を紹介することができます。

しかし、そうではない研究者にとってなかなか厳しい社会なんだなあと、この本を読んで思いました。

(今はSNSでいろいろ発信はできますが。)

サバクトビバッタは日本人には馴染みがないし、バッタの甚大な被害を日本ではあまり目にすることがありませんが、バッタの研究をしている研究者がいること、バッタの被害は深刻であることを知るのにはとても良い本だと思います。

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