出版日:2022年6月1日
ページ数:256ページ
数年前に実家を処分しました。
両親それぞれが別々の施設に入居したため、実家が空き家になってしまったのです。
2人とも家に帰ってこられる状態ではなかったし、私自身も結婚して他県に住んでいるため、「空き家のままにしておくのは危ない」と判断し、売却するためにすぐに動き出しました。
私の実家は東北の小さな田舎町にあったので、そんなに簡単に売れないだろうと思っていました。
ところが、1年程度で売却でき、本当にラッキーだったと思います。
空き家である実家を維持したのはたったの1年でしたが、それでもその間の維持費はそれなりの金額になりました。
これが何年にも渡り売却できなかったら、もっと大変なことになっていただろうなと思います。
タレントの松本明子さんが香川県にある実家の処分で苦労した話を出版なさったと知り、早速読んでみました。
この本では、前半が松本さんの経験談、後半が空き家処分の際に利用すると便利なサービスや空き家処分の心構え、墓じまいについて詳しく書かれています。
松本さんはお父さんが亡くなる際に「実家を頼む」と言われたこともあり、実家を処分する踏ん切りがつくまで25年間かかり、維持費は1800万円以上かかったそうです。
松本さんはアイドルとしてデビューするために16歳で上京し、そのまま東京で暮らしていました。
のちにご両親を東京に呼び寄せ、都内にマンションや一軒家を購入し、ご両親も亡くなるまで東京に住んでいました。
両親を都内に呼び寄せた段階で香川県の実家が空き家になるのはわかっていたのだから、さっさと処分すればよかったのでは?と思いましたが、ご両親と松本さんご自身が実家に思い入れがあり、なかなか処分しなかったようです。
ご両親が亡くなり、お兄さんの了承を得て実家を処分することになるのですが、その前に実家をリフォームしていたり、いろいろと空き家にお金をかけています。
このリフォームは最終的に売却の際にプラスに働き、購入してくださる方が見つかるのですが、うーん、そこまで空き家にお金かける必要があったのかなと私は思ってしまいました。
私は実家や地元に対して非常にドライなので、維持費や放火などのリスクを考えてすぐに売却に踏み切ったのですが、一般的には「実家」というものに思い入れがありなかなか踏ん切りがつかないのかもしれません。
この本では実家を売却する際にどのような手順を踏んでいくべきか、どのようなサービスや業者さんを使うべきかなど、こと細かく書かれています。
空き家は壊して更地にするのが一番売れやすいです。
更地にするにはかなりお金がかかります。しかし、空き家が売れずに何十年も維持することになると、維持費のほうがもっとかかります。
そこをどう考えるかは人によりますが、早め早めに動くほうが良いかと思います。
空き家を売薬するにせよ、賃貸に出すにせよ、明け渡す際には家財道具一式をすべて処分することになります。
私の実家は売却がすぐに決まったため、家財道具の整理を自分でやってる暇がなく業者さんを頼みましたが、総額100万円くらい処分費がかかりました。
この本にもおすすめの業者さんの条件等が書かれていますが、できれば早いうちから実家の整理をやっておくのがベストです。
空き家ははっきり言って、よほど立地や条件が良くない限り売れません。
自分が思っているよりもはるかに安い売値になるのが一般的ですし、「もっと高く売れるはず」と言っていると築年数だけが古くなり、維持費もかかりマイナスにしかなりません。
また、空き家は放火、野生動物や虫の繁殖、古い家屋は崩壊して近隣の家に迷惑をかけるなど様々なトラブルが発生します。近隣への迷惑が掛かった場合は、賠償責任も発生します。
意外とそのあたりのことを良く知らない方が多いので、この本ではそういうトラブルの実例も紹介されていて非常に参考になります。
この本の最後では墓じまいについても書かれているのですが、墓じまいが一番お金がかかるのかもしれません。
お墓を管理してくれる身内がいないようであれば、お寺などに相談して墓じまいをするかどうか検討してみたほうが良いかもしれません。
非常に実践的な内容で、どこに相談したらいいのか、費用はどのくらいかかるのか等が詳しく書かれていて、とても良い本でした。
実家の処分に関しては誰もが必ず直面する問題なので、一読しておいて損はないと思います。
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