今後の移民政策を考える上で参考になる本-「団地と移民」 安田浩一

ノンフィクション

発売日:2022年4月8日

ページ数:272ページ

20代の頃、東京都板橋区の高島平団地に住んだことがあります。

学生だったため高島平に住んでいた親戚のところに間借りしていたのですが、初めて高島平を訪れた時は巨大な団地群に度肝を抜かれました。

(地方出身なのでそれまで街ひとつを作るくらいの巨大な団地群を見たことが無かったのです。)

作られた当初は物凄く活気があっただろうなと思われる高島平も、私が間借りしてた時期に既に高齢者のみの世帯が多くなっていました。

現在はどの団地も高齢化が進み、住民の半分が高齢者、半分が外国人という状態になっています。

その現象による問題を書いているのがこの本です。

日本各地の巨大団地群の多くは、住民の高齢化問題を抱えています。

高齢の単身者が多く孤独死するケースも多いため、自治会での見回りや声かけなどの努力をしているそうです。

しかし、その自治会も70代以上の高齢者が運営してる状態。

団地住民の高齢化が進むにつれて団地の空室が目立ち、そこに外国人が増えてきたという背景があります。

今の団地は高齢の日本人と若い外国人が住んでいる状態で、世代間のギャップと他文化他習慣の問題を抱えることになりました。

また、例えばゴミ分別の問題が団地で起きると、なんでもかんでも外国人のせいになってしまい、軋轢が生まれるという問題もあるそうです。

言葉がわからず、日本の習慣もわかっていない外国人の住民がそういうトラブルを起こすのはごく一部で、ほとんどは外国人を追い出そうとする嫌がらせだったりするそうです。

これらの問題を解決しようと、近隣の大学や若い人が日本人高齢者と外国人の若い世帯を結びつけるためのイベントを開いたり、さまざまな取り組みをしており、そのことが詳しく書かれている本でした。

海外の例として、パリ郊外の大型団地のレポートもあり、世界のどこでも似たような問題を抱えていることを知ることが出来ました。

今現在は団地に住んでいないので、こういう問題を実際に目の当たりにすることはほとんどないのですが、この本を読んで団地の状況や取り組みに関心を持つようにして、機会が有れば取り組みに参加してみたいと思いました。

また、今後の日本では海外からの移民が増えることが予想されます。

外国人移民増えた場合、どのように自分が住む地域では取り組むのかを、この本を通して考えてみることは重要だと思いました。

今後の日本の移民政策を考える上で非常に参考になる1冊です。

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