摩訶不思議な非日常を味わいたい方におススメの本-「カメリ」北野勇作

小説
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なんとも不思議なお話でした。

悲劇も感動もなく、淡々と日常生活が続いていく小説です。

ひとつだけ違うのは登場人物がすべて架空の動物?生物?だということ。

題名からも分かるように、雰囲気はフランス映画「アメリ」、舞台もパリを模倣してるような架空の街。

主人公の模倣亀「カメリ」を中心に、その街で起きる日常を淡々と描いている物語でした。

主人公「カメリ」は模造亀。

カメリが住む世界は人間が昔住んでいた世界で、街の造りやそこに住む人間を模倣した「作り物」です。

テレビから流れてくるのは今はこの街にいない「人間の日常」。ドラマや様々な番組として人間の様子が放送されています。

それを見ながら人間に似た生活を送る登場人物たち。

カメリはマスターの「石頭」や同僚の「ヌートリアン」と共にカフェで働いています。

カフェのお客さんはこの街を人間が住んでいた街そっくりに作るために働いている「ヒトデナシ」たち。

この登場生物?たちが日々の淡々とした様子を綴っていきます。

特に誰かが死んでしまったり、傷ついてしまうこともなく、大きなハッピーがあるわけでもなく、ひたすら日々の生活が続いていきます。

ただ、人間の世界とは違うのでカエルと思われる生物がメトロ(地下鉄)だったり、そのメトロがストライキを起こしていたり、ちょっとしたアクシデントはあります。

そんな摩訶不思議な世界が繰り広げられていくのですが、特に大きな悲劇も感動もない小説なので、淡々と読む進めることができます。

なのに、なぜか面白い。不思議すぎて面白い。

登場生物たちにはちゃんと感情があるので、嬉しいとか悲しいとか、そういう思いはちゃんと伝わってくるし、摩訶不思議な世界で人間ではない登場生物たちがあーでもない、こーでもないと暮らしているのですが、その様子が人間とそっくりでとても面白い。

非現実的な世界に浸ってみたい人にはおススメの小説です。

とても読みやすい文章で、摩訶不思議な世界だけど説明もきちんとされているのでどんな状況なのかもわかりやすく、とても面白い本でした。

摩訶不思議な、非日常を味わいたい方におススメの本です。

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