東洋哲学のとっかかりを掴むのに最高の本-「自分とか、ないから。」しんめいP

エッセイ

出版日:2024年4月23日

ページ数:352ページ

西洋哲学はいろいろなところでお目にかかりますが、東洋哲学って、「なんとなくよくわからない」ことありませんか?

私も「東洋哲学って、結局、仏教だよね?宗教だよね?」と思っていました。

実際、東洋哲学は仏教ベースなんですが、今まで曖昧だった東洋哲学がよくわかる本でした。

西洋哲学は理詰めでなんても白黒はっきりさせようとするのですが、東洋哲学は曖昧というか、「大体こんな感じじゃん」的な部分が多く、読んでいるととても気が楽になりました。

なんでも答えをはっきりさせることだけがすべてじゃないんだよな。。。と思わされることが多々ありました。

著者は東大卒のニートで(現在はきちんとお仕事なさってご結婚もされてお子さんもいます)、この本を書く前は前の奥様と離婚し、仕事を失い、実家で引きこもる最悪の日々の真っただ中でした。

どん底の状態から抜け出すために東洋哲学の本を50冊読んで、それをnoteに書いたことがきっかけでこの本を書くことになったそうです。

しかし、「本を出しませんか?」のオファーから出版まで約4年!

やっと出版できたと同時に、東洋哲学の効果なのか、今の奥様と出会い、結婚&お子さんを授かるに至ったそうです。

なんとも凄い話です。

著者のどん底経験がいかに東洋哲学によって癒され、人生が好転していったのかのエピソードも交えながら、この本では東洋哲学について解説されています。

仏陀から空海まで、それぞれの論理を非常に分かりやすくまとめてあり、なおかつ読みやすい文章と東洋哲学についておもしろおかしく、著者と会話しているような感覚で読み進めていくことができます。

で、タイトルの「自分とか、ないから」は、まさに仏陀の「無我」の境地のこと

仏陀も老子も荘子も「自分なんてない。自分と思い込んでるものは自然や宇宙と溶け込んでいるものなんや!」と説いています。

今の社会は「自己顕示欲」「承認欲求」の塊みたいな人が多くて辟易しますが、東洋哲学では「なんだかんだ言っても、自分なんてものはどこにもなくて、宇宙や自然と一体なんだよ!」ということを教えてくれます。

西洋哲学のような、理詰めて「自己の存在とは!」とか説教されることもなく、なんていうか、のほほーんとやっていられるのが東洋哲学の良いところ。

この本読んでいると、とっても気が楽になりました。

私はこの本を読んで老子荘子の考え「道(タオ)」に興味を持ったので、近いうちに読んでみようと思います。

ちなみにこの本を出版している「サンクチュアリ出版」ですが、宗教的なものとは全く関係ないそうです。

以前からこの出版社の名前は知ってましたが、「宗教系の怪しい出版社なのでは?」と思ってました(笑)

実際は社長さんがこの出版社を立ち上げた当時にハマっていたゲーム「サンクチュアリ」から取ってつけた屋号だそうです。(ゲームのタイトルなのかい・・・)

この裏話?もこの本に書いてあり、納得しました(笑)

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