句読点について考えるきっかけをくれる本-「セミコロン」セシリア・ワトソン

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発売日:2023年9月6日

ページ数:192ページ

日常で句読点について深く考える機会はほとんどないと思います。

句読点が全くない文章はとても読みづらいし、意味も分かりづらいけど、「そこまで重要?」と思う人も多いのではないでしょうか。

日本語にはない句読点のひとつ、;(セミコロン)は日本人にはあまり馴染みがありません。

日本語にない句読点だからこそ興味があり読んでみました。

セミコロンは1949年にイタリアのベネチアが発祥。

最初は文法的な意味合いはなく、「ここで一息つける」など小休止のための記号として使われていたようです。

その後、欧米系の言語すべてに使われるようになりましたが、英語での文法上の取り扱いについて、この本ではこと細かく書かれています。

セミコロンの歴史から文法に至るまで幅広く、多角的な視点で書かれています。

また、「セミコロンなんて単なる句読点のひとつだろ」と高を括ることができないケースがこれまでにたくさんあり、その事例をいくつも上げています。

過去にはセミコロンがあるかないかの違いだけで、裁判で死刑判決が出てしまったことも。

「昔のことだから今は関係ない」とは言い切れないのがセミコロン。

単なる句読点ではなく、役割も意味も含まれていることがわかります。

セミコロンだけで本1冊書けてしまうことに、まず驚きました。

そんなに重要な句読点だとは思っていなかったし、日英翻訳をやっていた頃には「セミコロンの用法って???」くらいにしか思っていませんでした。

セミコロンをどのように使うかで文章の解釈が変わってしまう。適切な使い方が文法書で調べても、ネイティブに聞いてもイマイチはっきりしない。

知らなくてもいいことだけど、知っておくと何かの役に立つかもと思いました。

欧米系の言語を学ぶ場合、セミコロンはどこかしらに現れます。

欧米系の外国語を勉強する、または使う場合は無関係でいられない。

それなら知っておいたほうがいいのかもと思いました。

とにかく面白い本でした。

日本語訳が秀逸。軽快な文章でクスっと笑えてスイスイ読める本でした。

また、文法上の話だけでなく、セミコロン発祥から今までの歴史、セミコロンをどのように使うかによって人生が左右されてしまった話など目から鱗が落ちる内容でした。

いやいや、句読点くらいで大げさな?と思うかもしれませんが、セミコロンは私たち日本人が思っているよりもはるかに重要度が高い句読点だということが分かりました。

欧米系の言語を使う人でもセミコロンの重要性はあまり認識されていないようですが、この本の内容を知っているのと知っていないのとでは、言語に対する認識が違ってくるなあと思いました。

200ページに満たない本なのでさらっと読めます。

欧米系言語を学んでいる方や英語を使って仕事をしている方は読んで損はないと思います。

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