出版日:2021年1月10日
ページ数:192ページ
数年前に夫を亡くしました。
それまで祖父母を看取った経験はありましたが、若くして人が亡くなるという場面に遭遇したのは夫の時が初めてでした。
長く闘病生活を送っていた夫とは二人三脚の生活をしてきました。
その生活がいきなりぷっつりと途切れたことに、世界が崩壊するようなショックを受けました。
そこから血を吐くような思いをしながら這い上がってきたのですが、最近ふと思い立ってこの本を読んでみました。
亡くなった夫と実際に話ができるとは思っていませんが、それでも何かちょっとした方法があればいいなと思いました。
結果的に、この本はとても良い本だったと思います。
スピリチュアル本です。
私はスピリチュアルをあまり信じていないので、こういう本を読む時は警戒しながら読みます。
この本もスピリチュアル本にありがちなあいまいさや、理屈に合わない部分はあったのですが、グリーフケア(死別の悲しみを癒し、乗り越えるためのケア)の本としては秀逸でした。
著者はスピリチュアルカウンセラーで浄霊師の方です。
なので、人が死んだらどうなるのか、霊はどのようなことを望んでいるのか等、ホントかウソかわからない話もたくさん書いてあります。
ただ、悪いことは一切書いていないので、家族や親しい人を亡くした人には非常に慰めになると思います。
この本で一番良かったのは、死別直後のショック状態からある程度落ち着いて生活できるようになるまでの経過を時系列に書いてくれていることです。
私も夫が亡くなった時に経験しましたが、世界が崩壊するようなショック状態から心身共にボロボロになり、苦しくて悲しくて辛い時期がずっと続きました。
「この苦しみはいつになったら終わるのだろう」
「いつになったらこの悲しみが癒されて普通の生活ができるようになるのだろう」
といつも思っていました。
この本では死別直後から〇か月目くらいまではこういう状態を辿りますよ、その次の〇か月後にはこうなりますよという大体の目安を提示してくれているのです。
人それぞれ立ち直りのプロセスは異なるので、全員がこの本の通りになるわけではありませんが、大体の目安が分かれば人間は頑張ることができます。
死別直後に私が一番知りたかったことはまさにこれで、半年後、1年後には自分はどうなっているのか、このまま立ち直れないのか、それとも普通の生活が少しでも送れるようになっているのかをずっと知りたいと思っていました。
誰も教えてくれないことだからこそ、この本で示してくれているのは大切な人を亡くした直後の人には救いになるなと思いました。
この本でも書かれていましたが、死別の悲しみを癒すためにはたくさん泣いてたくさん感情を吐き出すことが大切です。
私も通勤電車の中で何度か堪えきれなくて泣いたことがあります。
「人に見られて恥ずかしい」なんてことよりも、自分の心を癒すために仕方ないと思っていました。
この本の後半では最初に見たひらがなから亡くなった人からのメッセージを読み解く一覧表もあり、何気なく亡くなった夫にアドバイスをもらいたいなと思った時などに役立ちそうだなと思いました。
スピリチュアル本はあいまいなものが多いのですが、この本は非常に具体的でグリーフケアにとても役立つ内容でした。
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