さらにパワーアップした小説「問題物件」の続巻-「天使の棲む部屋」大倉崇裕

小説

発売日:2018年7月11日

ページ数:368ページ

2025年1月から始まったドラマ「問題物件」。

上川隆也さん主演のドラマでとにかく面白い!

原作は前作の「問題物件」と本日のブログでご紹介する「天使の棲む部屋」の2冊になります。

様々な不動産の問題をめぐるミステリーなのですが、ドラマもさることながら原作もとても面白い作品です。

今日のブログで紹介する「天使の棲む部屋」は続巻になります。

前作の紹介はこちら↓

今回も無理難題山積みの物件問題解決を会社から押し付けられた若宮恵美子が、謎の男性犬頭光太郎と共に解決していきます。

が!今回はいきなりアメリカの物件から始まります。

大島不動産の現社長が購入しようとしているアメリカの物件がいわくつきで、それを解決するように会社から命令されます。

事故で亡くなった旧社長の息子、雅弘の介護を担当しており、実質上「旧社長派」の若宮恵美子は、現社長、高丸に疎んじられたおり、雅弘共々大島不動産から追い出すために現社長派から様々な嫌がらせをされます。

それが「どう考えても解決するのは無理」と思われる問題物件の解決。

前作でも無理難題のオンパレードでしたが、今回の続巻でもオカルトとしか思えないような問題に次々と巻き込まれます。

一見、オカルトに見える不動産問題も、実はちゃんとカラクリがあり、しかも人の情念や思惑が複雑に絡み合っています。

人がいない部屋から漏水が起きたり、なぜか鳩が集まってくる鳩屋敷問題なども、元を辿れば人の心の闇が関係していて、オカルトかと思いきや、人の精神的な問題が元凶だったりします。

今回の続巻では、あとがきに「この小説はゴミ屋敷や居座り問題、老人ホームなど社会情勢を反映している小説」と書かれていました。

この続巻の最後の話は老人ホームが舞台だし、前作のゴミ屋敷も現代で問題になるテーマです。

不動産に関わるさまざまな問題を世相を踏まえて書かれていて、ミステリーだけどいろいろ考えさせられる小説でした。

旧社長の息子である雅弘の病状はあまり良くならなくて残念だったり、謎の男犬頭の正体が実は雅弘が子供の頃から大切にしているぬいぐるみの「犬太」であることを、犬頭本人が明かしてもみんな驚かないという展開だったり、登場人物たちの伏線も多々あり楽しめます。

まだまだ続きそうな終わり方なのですが、2018年にこの文庫が出てから続編の気配がなく残念です。

ぜひ続編が発売されることを期待したいと思います。

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