何歳からでも挑戦することが大事と思わせてくれる本-「声優、東大に行く」佐々木望

エッセイ

発売日:2023年3月1日

ページ数:304ページ

大人になってからも語学を勉強したり、資格を取るために勉強する機会は多いですよね。

声優の佐々木望さんが44歳で東大受験を目指し、46歳で東大合格しました。

佐々木さんは高校卒業後アルバイト先の友人に誘われてオーディションを受けたことをきっかけに声優になったキャリア38年のベテランです。

忙しい声優の仕事の傍ら、東大を目指したのはどうしてなのでしょうか?

声優になって10年が経つ頃に声の調子を崩したことをきっかけに、発声の仕方や演技などさまざまな技術を熱心に研究なさったそうです。

さまざまな技法や演技を学び、アメリカ留学を経験したのち、「大学に行こう」と思い東大を目指したそうです。

この本は佐々木さんが44歳で東大を目指し合格までの道筋をこと細かく書かれている本です。

この本を読むと何歳になってもチャレンジすることの大事さが良く分かります。

この本は佐々木さんご本人の書き下ろしです。

そのため、詳細に受験勉強や日常生活で気を付けたことなどが書かれています。

もともと頭の良い方で東大を目指す前に英検1級と通訳案内士に合格しています。

忙しい仕事をしながら難しい試験に挑戦し、勉強を続けているその姿勢に感服しました。

ボストンへ短期留学した際、ホームステイ先のホストマザーが40代で大学に行っていたこと、日本の大学の英語一般講座などに参加してる時に「どうせなら大学で勉強しよう」と思ったことが東大を目指したきっかけになったそうです。

そこからは本当に素晴らしい学習プランを練り上げ、コツコツと努力していくさまが読み取れました。

英語が得意であるため、英語の勉強時間を減らし他の教科の勉強に時間を割く。

社会人であるため、仕事の合間に勉強の時間を確保する。

社会人は仕事や家庭でさまざまなことが起きることを想定して、「我慢しない、無理しない」学習プランを作る。

を心がけていたようです。

一般的な社会人向け勉強本は「社会人なんだから、どうにかして時間作れ」「無理してでも勉強しろ」というタイプのものが多いように思いますが、この本は仕事の都合や家庭の事情(介護等)で時間が取れないことも考慮されていて、読んでいて苦しくならない本でした。

そうは言っても、佐々木さんがどんなに忙しくてもコツコツと努力していたこと、優先順位を見極めて効率的に勉強していたこと、仕事が忙しすぎたりプライベートで問題が起きた時などは思い切って勉強を休むなど、さまざまな努力をしていたことが東大合格につながったことは間違いありません。

心身共に無理をしてガツガツ勉強するのではなく、非常にバランスが良い学習生活をしていたことが良く分かりました。

佐々木さんの文章は非常に分かりやすく、「40代で東大に合格したんだぞ!」のような自慢話も一切なく、非常に気持ちの良い本でした。

この本を読むことによって、大人でもどんどん勉強していこうと思える本でした。

社会人が勉強する際に参考になるのはもちろんのこと、現役受験生が参考になるように各科目ごとに何をやったか、どのくらい勉強したかなど細かく書かれており、どの年代にとっても参考になる本でした。

何歳になってもチャレンジすることの大事さを改めて思い知らされる本でした。

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