森皆ねじ子「人が病気で死ぬワケを考えてみた」

エッセイ
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出版日:2023年8月30日

ページ数:264ページ

人はいつか必ず死ぬのですが、どうして同じ病気でも死ぬ人と死なない人がいるのか、ずっと疑問でした。

「寿命だ」と言われてしまえばそれまでだし、医療機関や先生との相性やレベルの問題と言われてしまえばそれまでです。

でも、比較的医療レベルにそこまでの大幅な格差がない環境だとしても死ぬ人と死なない人の差はなんなのかと長年疑問に思ってきました。

そんな疑問を解決したくて読んでみました。

あらすじ

医師である著者がご自身の漫画を交えながら病気で人が死ぬワケを解説している本です。

特に死因として多い「感染症」「がん」「生活習慣病」の3つに絞って書かれています。

あまりにもざっくりとした言い回しなので「誤解を招くのでは?」と思う部分もありますが、簡潔に説明されているので、概要がよく分かります。

今まで読んだ医療本の中ではダントツで分かりやすい説明の本でした。

どのような経緯でその病気になるのか、どういう経過を辿るのか、最終的にどうしてその病気で死ぬのかがシンプルな説明で書かれており、非常に分かりやすいです。

特に「がん」のトピックは今まで読んだどの本よりも分かりやすい説明でした。

この本を読もうと思った理由

10年前に母親と友人が同時期に卵巣がんになりました。

当時、母親は70代、友人は30代。

母親はステージⅣの末期、友人はステージⅠの初期でした。

ところが、母親は根治し、友人は亡くなりました。

友人のほうが若いから進行が早かったのかもしれませんが、同じような投薬や手術を行ったのに高齢でステージⅣの母親が助かり、若くてステージⅠだった友人が亡くなったのはなんだか納得できませんでした。

どうしてそのようなことが起こるのか理解したくて、この本を読みました。

この本では「がん」がどうして発症するのか、同じような抗がん剤を使っているのに助かる人と助からない人がいるのはどうしてなのかなど、長年に渡り私が疑問に思っていたことがはっきり書かれていました。

また「感染症」や「生活習慣病」でもどうして人が死ぬのか、死なない人が一定数いるのかを知りたいと思い、この本を読みました。

感想

病気の歴史や成り立ちから治療、その病気が辿る経過なども詳しく書かれていました。

説明が非常に分かりやすく、細かいことはいろいろあるのでしょうけど、大まかな概要とどうしてその病気で死んでしまう人と死なずに済む人がいるのか、理解するのにとても役立つ本でした。

例えば、抗がん剤については治すための薬ではなく、がんがない状態を1日でも長く保つための薬であることを初めて知りました。

副作用も強い抗がん剤を使って治療しているのに、どうして助かる人と助からない人がいるのかずっと疑問だったのですが、抗がん剤の前提を誤解していたのだなと理解できました。

また、感染症のカテゴリーでは、倫理や宗教観以前の問題としてどうして人の死体を食べることがタブーなのか、感染症の視点からとても分かりやすく書かれていました。

「どうしてそうなのか?」が理解できると、病気の治療や経過についての理解が進むのだなと思いました。

自分や家族が病気になった際にとても参考になる本だなと思いました。

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