皇族の海外留学はとても大変だ!と分かる本-「テムズとともに」徳仁親王

エッセイ

この本は1983年から1985年の2年間、現在の天皇陛下が皇太子時代にイギリス オックスフォード大学に留学した際の手記です。

留学から帰国なさった数年後に出版されましたが、学習院大学150周年記念として2019年に復刊されました。

まず最初に驚いたのは、天皇陛下が留学時代のことをこと細かく記録に残していたことです。

私もイギリスに留学経験がありますが、行ったばかりの時は日本とは異なる環境や言葉の壁、大学に慣れることに必死で記録をつける余裕は全くありませんでした。

セキュリティの問題で一般の留学生とは多少異なる部分はありますが、それでも特別扱いされることは少なく、なんでもご自身でなさっていたことに驚きました。

もちろん警備担当の警察官が常にご一緒だったりということはありますが、洗濯でも買い物でもなんでも天皇陛下ご自身が行っていたことに驚きました。

(洗濯などの身の回りのお世話をなさる方が日本からついて行くものだと思っていました。)

海外の大学の勉強は総じてハードなものですが、天皇陛下も多大な努力をなさって勉学に励んでおられた様子がひしひしと伝わってきました。

また、テニスサークルや合唱、演奏会、大学の各イベントへの参加などに積極的に参加なさっていて、他の学生(現地の学生、留学生)や現地の方との交流をなさっている様子がよく分かりました。

一般の学生や留学生と決定的に違うことは、天皇陛下が留学生という立場であっても皇族として「公務」を行わなければならないことです。

ただでさえ海外での留学生生活はとても忙しいものですが、そこに公務が加わるというのは非常に大変なことだったのではないかと思いました。

(いくら日本でも公務をこなしていらっしゃったとはいえ。。。)

言葉の壁、大学のハードな勉強、サークル活動や友人との時間、そこに公務となれば、一般の私たちが想像する以上にハードな生活だったと思います。

本当に体力気力勝負だなと、皇族の留学生活が私たちが思っているほどなんでもやってもらえる楽なものではないということを、ひしひしと感じました。

一方で、日本に帰国なされば規制の多い生活に戻ることになりますから、イギリスでの自由な、普通の学生のような生活を2年間経験できたことは天皇陛下にとって非常に素晴らしい経験だっただろうなと思いました。

「皇族の海外留学はさぞかし恵まれているのだろう」と勝手に思っていましたが、(確かに政府関係者や大使館の手厚いサポートはある)、思っていたよりもご自身でなんでも行い、公務のような普通の学生とは異なる責務があり、とても大変である状況を知ることができました。

皇后雅子様もオックスフォード大学に留学なさっていたので、ご結婚後はご夫婦で大学のお話ができたのは、規制が多い皇室の生活の中で一服の清涼剤になったのではないかと思います。

今年(2024年)6月下旬に天皇皇后両陛下がイギリスに訪問することが決まり、オックスフォードにも訪問することが決まりました。

お二人にとって懐かしく素晴らしい訪問になることを心からお祈りいたします。

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